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皮脂欠乏性湿疹・乾皮症

高齢者の皮膚トラブルの代表 ― 老人性乾皮症とは?

年齢を重ねるにつれて、「全身の皮膚がカサカサして、かゆくてたまらない…。」このような症状を実感されて いるかたは多いのではないでしょうか。実際、毎日の診療の中でもそのような主訴で皮膚科を受診されるかたはたくさんいらっしゃいます。では、なぜ高齢になるほど皮膚が乾燥してかゆくなりやすくなってしまうのでし ょうか。この質問に答えるためには、まず高齢者の皮膚の構造の特徴を理解する必要があります。

その前に、一般的な皮膚の構造を簡単に説明させていただきます。
皮膚と言っても実際は最も表面にある「表皮」とその下にある「真皮」に分けられ、さらに表皮は最外にある「角層」とその下の「有棘層」「顆粒層」「基底層」から成り立っています。表皮は絶えず新しいものに入れ替わっているのですが、これは基底層の細胞が分裂して徐々に上昇し、角層まで到達すると剥がれ落 ちるというサイクルを繰り返しているからです。これを皮膚のターンオーバーといい、通常28日とされています。

加齢による皮膚構造の生理的な変化で代表的なものは、皮膚が薄くなっていくこと(菲薄化)です。
表皮や真皮の厚さが薄くなり、また基底細胞の老化により分裂能が低下し、皮膚のターンオーバーの速度 が低下するために、最外の角層は滞積して厚くなっています。真皮内の細胞成分であるコラーゲンや弾性 線維の量の減少し、皮膚は脆弱となり、張りもなくなります。

皮膚の乾燥というのは、最外層である表皮内の角層に含まれる水分量と関連しています。角層は外部 からの異物や抗原の侵入を防御するとともに、体内の水分喪失を防ぐ重要なバリア機能を担っています。
若い人の皮膚がうるおっているのは、角層内に水分がしっかりと保持されているからです。そして、この 水分の保持に関わっている3つの物質として、皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)があります。

皮脂は毛穴に付随する皮脂腺から分泌されるトリグリセリドを中心とする脂質であり、皮膚表面で汗など水分 と混合し、皮膚表面をコーティングする弱酸性の皮脂膜を形成します。この膜は殺菌作用を持つため、有害 物質の侵入や感染防御に役立っていますが、角層からの水分の蒸発を防ぐ作用もあります。
角質細胞間脂質は、角層内で角質細胞間に存在するセラミドを中心とする脂質であり、強力な水分保持作用 をもっています。
天然保湿因子は角層下の顆粒層にある物質が代謝されてできた遊離アミノ酸や、汗由来成分の乳酸や 尿素のことで、角層内に存在して、水分保持作用があります。


皮膚の構造と保湿成分
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加齢に伴ってこれらの物質はすべて減少します。また、角層の滞積により、角層表面まで水分が届きに くくなります。その結果、角層内の水分量は低下し皮膚は乾燥しやすくなります。さらに環境因子や間違った 生活習慣(後述)が重なって、皮膚はさらに乾燥する方向に進みます。臨床的には皮脂分泌量の少ない 膝下や腰背部に顕著に認められますが、皮膚のきめが粗くなり、表面に細かい粉(鱗屑)を付着した状態に なります。これを「老人性乾皮症」と呼びます。

乾皮症はなぜかゆいのか? ―皮脂欠乏性皮膚炎への進展―

「かゆみ」は表皮と真皮の境界部付近まで伸びている感覚神経の末端の受容器によって感知されます。
乾皮症の皮膚では、この感覚神経の末端がさらに表皮内の角層直下まで伸びていることが観察されています。この増加した表皮内の神経線維によって、かゆみの閾値が通常の皮膚よりも低下しているために、軽度の刺激でもかゆみが生じやすくなっていると考えられます。

乾皮症によるかゆみは掻破行動を誘発し、その刺激によって皮膚に炎症が生じます。
この状態を「皮脂欠乏性皮膚炎」といいます。臨床的には、乾皮症に重なって地割れのような紅斑が認められ、激しいかゆみを伴います。この皮脂欠乏性皮膚炎を放置すると、「貨幣状湿疹」や「自家感作性皮膚炎」といった湿疹に発展して、重症化することもあるため、保湿剤とともにステロイド含有軟膏を用いた早期の治療が必要となってきます。


健康な皮膚と乾皮症の外的刺激の伝わり方
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皮膚の乾燥を防ぐ生活上の注意点について

日常生活において、できるだけ皮膚の乾燥・かゆみを防ぐポイントとして、
①入浴、②部屋の湿度、③衣類・食生活を取り上げます。

①入浴
入浴は高齢者の皮膚を清潔に保つ一方で、皮膚にダメージを与え、乾燥を促進する要因でもあるため 注意が必要です。まず、ナイロンタオルでゴシゴシ擦ったり、脱脂力の強い石鹸やボディーソープの使用による過度の洗浄 は皮脂を取りすぎるだけでなく、刺激による湿疹の原因になります。しっかりと泡立てて、綿などのやわら かいタオルや、手でやさしく洗うことをお勧めします。 また、熱すぎる湯船につかることも皮脂の取りすぎによる乾燥が助長されます。高齢者は熱い湯が好き なのですが、体感よりややぬるめの39℃くらいがお勧めです。

②部屋の湿度
特に秋から冬にかけて空気が乾燥しやすく、さらにエアコンなどの暖房の効かせすぎも皮膚の乾燥も 助長します。加湿器を用いて、適度な湿度(40~60%)を保つようにしましょう。コタツや電気毛布の長 時間の使用も注意が必要です。

③衣類・食生活
肌着など皮膚に直接ふれるものは、チクチクしない、刺激の少ないものを選びましょう。また、アルコール や香辛料などの刺激物のとりすぎは、体温が上昇してかゆみがひどくなるために控えるようにしましょう。

保湿剤の選び方・塗り方

乾皮症の予防・治療にかかせないのは「保湿剤」といわれる外用剤です。保湿剤は皮膚の水分が逃げないように皮膚表面をコーティングしたり、皮膚に水分を与える役割を持っています。

病院でよく処方される保湿剤には、主剤として天然保湿因子と類似した水溶性成分である湿潤剤を含 んだ水相と、閉塞効果や柔軟効果のある油脂性成分を含んだ油相を界面活性剤で乳化させて製造され た、油中水型水中油型と言われるクリーム製剤(ヘパリノイド含有製剤、尿素含有製剤)や、 乳剤性ローション、油相のみの軟膏である白色ワセリンなどがあります。 いずれも効果的ですが、製剤によってべたつき、使用感などが異なりますので、部位や症状や季節に合わせて選ぶのが良いかと思います。

基本的な塗り方は、手を清潔にして保湿剤をとり、1ヶ所ではなく数か所に点在して塗布してから、指先ではなく手のひら全体を使ってやさしく丁寧に、できるだけ広範囲にのばします。軽く皮膚がテカる程度が使用量の目安です。

保湿剤は特に副作用はありませんので、季節に関係なくできれば毎日朝夜2回の外用をお勧めします。特に夜は、入浴後に早め(できれば入浴後5分以内)に保湿剤を外用すると効果的です。


保湿剤の種類と使い分け
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