皮膚の表面やその直下には様々な色素斑や盛り上がったできものが発生します。
中には生まれた時から存在するものもありますが、たいていは気づいたらできていたとか、はじめは小さかったのにだんだんと大きくなってきたということが多いかと思われます。
代表的なものとして、色素斑ではしみ、ホクロ、血管腫などがあり、盛り上がったできものとしては、粉瘤(表皮嚢腫)や軟性線維腫や脂肪腫を代表とする皮膚の良性腫瘍や、年齢を重ねるとできてくる脂漏性角化症やウイルス性のイボなどがあり、ホクロでも年齢とともに盛り上がってくるものもよくみられます。
受診される目的として、そのできものが何なのか、悪いもの(悪性)ではないのかを知りたい、できれば切除してしまいたいなどの要望があると思います。見た感じやさわった感じだけである程度何なのか予想できる場合もあれば、切除してしっかり調べなければわからない場合もあります。
当院では、患者様の希望で切除したい場合や、切除して良性なのか悪性なのかをはっきりさせたほうがよいと思われる場合には、日帰りの手術を行っております。もちろん、手術以外の治療法があれば、そちらを優先することもあります。
方法としては、大きさや部位によっても変わってきますが、メスや円筒型のパンチを使う場合や、レーザーや電気メスを使う場合もあります。基本的には、切除した検体は病理検査に出して診断を確定させる方向で行います。なお、ホクロなどの場合で、明らかに良性であり、色を消したり、盛り上がりをなくしたいといった見かけ上目立たなくしたいときは、全切除しない場合もあり、保険診療外となることがあります。
その他、皮膚疾患によっては色素斑や腫瘍以外でも、治療方針を決定するためにしっかり調べて診断をつけたほうがよいと思われるケースもあり、皮疹の一部を切除して病理検査に出すこともあります。これを“皮膚生検”と言いますが、必要があれば行うこともあります。
また、“陥入爪”といって多くは足の母趾爪にみられますが、爪の側縁が皮膚の下に食い込んで痛みを発して腫れたり、爪の側縁に肉芽腫という赤い盛り上がりができてくる場合がありますが、その根治手術を行うこともあります。
施術の流れとしましては、基本的には施術の説明を行い、同意書の署名をいただいてから予約制で行います。
皮膚の様々な腫瘍(粉瘤、脂肪腫など)・ホクロ(色素性母斑)
通常のメスやパンチという円筒型のメスを用いて、皮膚のできものをわずかにその周囲も含めて完全に切除します。
皮膚の切開の仕方は様々ですが、一般的には紡錘形(葉っぱ型)に切ります。根元が細くなったような有茎状の腫瘍では、高周波電気メスやレーザーで切除することもあります。
注射による局所麻酔を行いますので、施術中の痛みはほとんどありません。傷口は糸で縫合して、約1週間後に抜糸をします。
基本的には切除した検体は病理検査に提出して、診断を確定します。
(レーザーなどを用いて整容的に目立たなくしたい場合は、「美容目的のホクロや腫瘍の除去」をご覧ください)
皮膚生検
治療方針などを決めるうえで診断をはっきりさせたほうが良い場合や、見た目の診断がはっきりせず治療にも苦慮するような場合には、確定診断を得るために病変の一部ををメスやパンチなどを使って切除して病理検査に提出することがあります。これを皮膚生検といいます。
陥入爪根治手術(フェノール法)
陥入爪の人は、爪の切りすぎや靴の圧迫により爪の側縁が過度に湾曲して“巻き爪”になってる場合が多く、その側縁の一部が皮膚に食い込んで痛みを生じたり、細菌感染を起こして腫れたり、爪の側縁の皮膚に赤く盛り上がった肉芽腫をつくったりします。
陥入爪の治療法は保存的な方法もいくつかありますが、炎症を何度も繰り返したり、爪の湾曲が非常に強い場合などは、食い込んでいる側縁の爪の部分をフェノールという薬剤を用いて爪母から永久に生えなくさせることで、陥入爪をほぼ根治させることができます。これをフェノール法といいます。施術は約15~20分で終了し、当日も歩いて帰ることができます。