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みなさまは、日焼け対策をしていますか?
春~夏になると軽装になり肌の露出部位が増えます。以前と比べて、紫外線・日焼けに対する意識はかなり上昇していると思いますが、今でも日焼けをしたほう健康的、特に男性の場合は女性と異なり、色白よりは多少日焼けした浅黒い肌のほうがかっこいいというイメージはあるかもしれません。しかし、実際は皮膚科学的には紫外線は圧倒的に“悪い面”が多いと考えられています。
ここでは、紫外線の皮膚への影響や対策、日焼け止めの使い方などについてわかりやすく説明したいと思います。

本当に日焼けは体に悪い? 紫外線による皮膚への影響とは?

以前に比べ、日光、特にそれに含まれる紫外線の有害性については認識されつつあるようですが、まだまだ一般的ではないと思います。近年はオゾン層の破壊により、地上に到達する紫外線量が増加している中、社会的に高齢化が進み、今後は光老化や発ガンといった皮膚への紫外線の慢性的な障害も増加することが考えられており、ますます紫外線に対する知識は必要になってくると思われます。

紫外線とは?

ここで、紫外線について少し説明しておきましょう。
太陽の光の中にはさまざまな波長の光が含まれていて、地表に到達するものに赤外線、可視光線、紫外線があります。この中で赤外線が最も多く全体の約54%以上を占めます。次に可視光線が続き、紫外線は約6%と少量です。しかし、この中で皮膚に最も影響を及ぼすのは紫外線です。

紫外線は波長が200~400nm(ナノメートル)のものを指しますが、この中でさらにUVA(波長が320~400nm)と、UVB(波長が290~320nm)と、UVC(波長が200~290nm)に分けられます。
UVCはオゾン層で吸収されるため、地表に届くのはUVAとUVBということになります。つまり、このUVAとUVBの作用によって皮膚は影響を受けることになります。
ここで、UVAとUVBの特徴を簡単に表にまとめてみます。

サンバーンなどの急性反応と、皮膚の腫瘍やシミ、しわなどの慢性反応

では、紫外線の皮膚に与える影響とはなんでしょうか。これは、急性反応慢性反応の2つに大きく分けるとわかりやすいと思います。

急性反応:日光曝露後数時間後~数日後に出現するもの
サンバーン(紅斑反応、日光皮膚炎:いわゆる日焼け)、サンタン(黒色色素沈着)、免疫能低下など


慢性反応:日光の反復照射により数カ月~数十年後に出現するもの
皮膚の腫瘍の発生、しみ、しわなどの光老化による皮膚障害など


いずれも、皮膚の表皮細胞の遺伝子DNAがUVBやUVAを吸収して、障害を受けることが主な原因となります。遺伝子の中でも紫外線により障害を受けやすい部位があり、その障害によりさまざまな生理化学物質が誘導され、炎症反応やメラニン生成活性亢進により急性反応としてサンバーンやサンタンが発症します。

もともと人体にはこの紫外線による遺伝子の障害を修復する機能が備わっていますが、慢性的に何度も紫外線を浴びているうちに遺伝子の損傷が蓄積されて、メラニン生成と吸収のバランスの破綻による“しみ”の出現や、悪性、良性を含めた皮膚の腫瘍が発生します。

また紫外線は、DNA損傷以外に、直接的に細胞質や細胞膜に作用して真皮内の線維芽細胞を刺激したり、活性酸素(フリーラジカル)を発生させたりもします。これにより、皮膚のハリや弾力性を担っているコラーゲン、弾性線維を変性させたり、切断する酵素を生成することで“しわ”が誘発されます。これらの慢性的な紫外線による皮膚の退行現象光老化と言いますが、もともと皮膚は加齢による生理的な退行変性もあり、これに光老化が重なって、年齢を重ねるにつれ皮膚は衰えていくことになります。

以上のことを考えると、「日焼け」は紫外線によるDNAの破壊が起こっている状態であり、一過性には修復機能が働いているためそれほど問題にはなりません。しかし、DNAの損傷と紫外線による皮膚の細胞の障害は確実に起こっており、その蓄積により光老化が進み、しみ、しわや皮膚癌の発生につながることになります。

ちなみに、最近はあまり流行っていないようですが、日焼けサロンの紫外線も皮膚に対する影響は同様です。屋外で生活している限り、紫外線を完全に遮断することは不可能です。よって、この紫外線をいかにして防御するかということが重要になってきます。

最後に、紫外線の“良い面”として、体内でのビタミンDの生合成があります。しかし、これは日常生活で知らず知らずに浴びてしまう程度の紫外線で十分賄われ、食物からも摂取できるので、まず不足することはありません。

紫外線の有効な防御法とは?

紫外線の防御において日常の生活でまずできることは、物理的に紫外線を避けることです。
本来、太陽が出ている日中に外出しなければ紫外線を浴びることはないのですが、そのようなことは不可能です。そこで日中、外出する際に紫外線対策として活躍するのが、帽子、サングラス、日傘などの、物理的に紫外線から皮膚や眼を守るアイテムです。

紫外線対策として帽子を選ぶ場合、麦わら帽子のようなツバの広い帽子が理想的です。また、男性には難しいかもしれませんが、頭、顔、首など上半身を紫外線から防御するには日傘をさすことが有効です。色は白と黒が多いですが、白は紫外線を反射、黒は紫外線を吸収することでカットしています。地面からの照り返しを考えた場合、断然黒のほうが有利ですが、見た目は白のほうが涼しげです。色だけではなく、素材も重要であることは言うまでもありません。また、紫外線は白内障の原因にもなるために眼の防御も重要であり、UVカット加工のサングラスが有効です。

ただ、これらのアイテムを用いても地面や建物の反射で回り込んでくる紫外線や、素材を透過してくる紫外線を防御することは困難であり、完全防御は難しいと思われます。
そこで、皮膚への紫外線防御として最も効率がいいのは日焼け止め(サンスクリーン剤)を直接皮膚に外用することになります。

また、当院では紫外線によるDNAの破壊を抑制する成分が含まれた“飲む日焼け止め”(ヘリオケアシリーズ)も保険適応外で処方可能ですので、サンスクリーン剤外用と併用すると効果的であると思われます。

サンスクリーン剤の効能、成分はどう見分ければいい?

女性はほとんどの人がサンスクリーン剤の外用、または含有の化粧品を使用していると思いますが、男性ではあまりなじみがないものかもしれません。外用せずに海やプールに行って、ひどいサンバーンになって皮膚科を受診される例もよくあります。

サンスクリーン剤のポイントとして、最も重要なことはその遮光効果の強さです。サンスクリーン剤にはその指標として必ずSPF(sun protect factor)PA(protection grade of UVA)の表示があります。
SPFはUVBに対する遮光能の指標ですが、数値で表示され上限は50です。50以上のものはすべて50+と表示されます。
また、PAはUVAに対する遮光能の指標ですが、こちらは+、++、+++、++++の4段階表示となります。

SPFとPAについて

では、実際SPFとPAはどのように決められているのでしょうか。

まずSPFですが、

SPF値=サンスクリーン剤塗布部のMED/非塗布部のMED

で計算されます。ここで、MEDとは最小紅斑量(minimal erythema dose)のことで、UVB照射24時間後に紅斑を生じるのに必要な最小の光線量のことです。例えば、20分間日光を浴びて紅斑が出る人がSPF10のサンスクリーン剤を外用すると、その10倍の強さの紫外線を20分間浴びて初めて紅斑が出ることになります。皮膚が受けるUVBの強さを1/10に減弱するとも言い換えられます。

次にPAですが、まずはPFA(protection factor of UVA)の値を求めます。

PFA=サンスクリーン剤塗布部のMPPD/非塗布部のMPPD

ここで、MPPDとは最小持続型即時黒化量(minimal persistent pigment darkening dose)のことで、UVA照射2~4時間後に皮膚が黒化反応を起こすのに必要な最小の光線量のことです。
このPFAの値によって、

PA+(PFAが2~4)、PA++(PFAが4~8)
PA+++(PFAが8〜16)、PA++++(PFAが16以上)

に分類します。+が増えるほど強力なUVA防御能があることになります。

サンスクリーン剤の成分による分類

また、サンスクリーン剤の成分による分類があります。

以前より紫外線吸収剤散乱剤に大きく分けられてきましたが、技術の進歩により微粒子化された散乱剤の中に吸収作用を持つものがあることなどが判明し、この分類法の意義が薄れたため、近年は無機系素材有機系素材に分類されることが多くなってきました。おおまかには、有機系素材は紫外線吸収剤が多く、無機系素材は紫外線散乱剤に対応しています。

一般的に吸収剤は遮光能が強く、のびが良く使用感が良いとされています。散乱剤はベタベタして塗った後に白色調になるものが多くみられます。しかし、副作用として接触皮膚炎や光接触皮膚炎(かぶれ)の頻度は散乱剤のほうが少なく、皮膚への刺激感も散乱剤のほうが少ないとされています。ただし、最近はさまざまな工夫がされ、かぶれにくく使用感のよい製品が開発されており、一概には当てはまらないかと思われます。

どう選ぶ、どう使う? サンスクリーン剤

上記でサンスクリーン剤の基本的なことは述べましたが、実際ドラッグストアにいって購入する場合、各メーカーが販売しているたくさんの種類があり、どれを選べばよいのか迷う人もいるかと思われます。
選択する際に最も重要なことは、自分が浴びる紫外線の強さと量です。また、自分の日焼けのしやすさを表すスキンタイプも重要な要因となります(日本人ではI、II、III型に分けられています)。そのほか、季節や時刻、天候などを考慮する必要もあります。以下の表を参考にしていただければと思います。

★たっぷりめに塗り、毎日使用することが大事

クリーム状、乳液状、オイル状、ローションなどの剤形の違いや、効果の持続時間により塗布回数も変わってくるために商品の紫外線に対する安定性も重要です。
最近は特に、2~3時間に1回塗り直すことが推奨されていますが、現実的にはなかなか難しいかもしれません。海やプールなどで水に濡れる場合はウォータープルーフタイプのものを選択する必要があります。また、皮膚が弱い人は吸収剤フリーのものを選んだ方がよいこともあります。

一般的にサンスクリーン剤が表示された数値の効果を出すには、2mg/cm2の量を塗布する必要があるとされ、これはかなりたっぷりめに外用した量となります。当然外用量が少ないと、効果も減弱することになります。また、毎日習慣として使用することが大切であり、毎日使用していた人が忘れると、メラニン量が少ないために日焼けしやすくなっているため、紫外線による障害も大きくなってしまします。
以上のことから、サンスクリーン剤も、各個人のライフスタイルに合わせて選択する必要があり、正しく使用しないと効果も得られないことになります。

みなさまも是非この機会に紫外線やその防御法について、今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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