- ・「ピコ秒レーザー」とは?
- ・「エンライトンSR」の特徴(Qスイッチレーザーとの比較)
- ・「エンライトンSR」の様々な照射方法
①スポット照射 ②ピコトーニング ③ピコフラクショナル - ・施術の流れ
- ・よくある質問、注意事項
- ・費用について
ピコ秒レーザーは2010年以降に登場した比較的新しい色素性病変に対する医療レーザー機器です。「エンライトンSR」は”日本人のスキンタイプにふさわしい”をコンセプトにキュテラ社(米国)が開発したピコ秒レーザーで、初期型より改良を繰り返し3世代目となります。
「ピコ秒レーザー」とは?
「レーザー治療について」で詳しく説明しましたが、SP理論に基づく色素性病変のレーザー治療では、①波長 ②照射時間(パルス幅) ③照射エネルギー の3つの条件が重要となります。
色素性病変の原因であるメラニンを選択的に効率よく破壊するためには、メラニンに吸収されやすく、周囲の血管への障害を避けるためにヘモグロビンには吸収されにくい波長の光を用いる必要があります。
なおかつ、周囲の組織への熱障害を最小限にするために、メラニンの熱緩和時間に相当するナノ(10-9)秒レベルのパルス幅の光を発振できるレーザー機器を用いる必要があります。
このような条件に適するレーザーとして、Qスイッチレーザー(Quality-switched Laser)が以前より代表的でしたが、さらに短縮したピコ(10-12)秒レベルのパルス幅の光を発振できるレーザー機器として開発されたのが、ピコ秒レーザー(Picosecond Laser)です。
ただし、”パルス幅が短縮されたから治療効果が高くなる”といった単純な理論ではなく、Qスイッチレーザーとは異なる部分も多くみられます。
「エンライトンSR」の特徴(Qスイッチレーザーとの比較)
当院で使用するエンライトンSRのスペックは、波長532/1064nm、パルス幅750psecとなっていますが、 この750psecというパルス幅がピコ秒レーザーに特有の衝撃波による光音響作用と従来のQスイッチレーザーにみられる光熱作用が程よく組み合わさることで、色素性病変に対してできるだけ周囲組織へのダメージを減少しつつ、ターゲットであるメラニンのみをQスイッチレーザー使用時よりも細かく破壊することを実現しています。
その結果、Qスイッチレーザーよりも照射後のPIH(炎症後色素沈着)を減らしつつ、より強力に色素性病変を改善させることができます。
「エンライトンSR」の様々な照射方法
エンライトンSRでは、限定したしみの部分に照射する通常のスポット照射としての使用法以外にも、お顔全体に照射して広範囲のしみ(肝斑もOK)、くすみに対するトーンアップや、レーザー光を細分化して、肌質改善、若返り(リジュビネーション)を目的とした照射方法があります。
これらの照射方法は、それぞれ「ピコトーニング」、「ピコフラクショナル」と呼んでいます。
①スポット照射
しみやあざの存在する限定的な部位に1発ずつ照射していく通常の照射方法です。
従来のQスイッチレーザーと同様に、強めの出力で照射してメラニン顆粒を破壊する方法です。
また、Qスイッチレーザーではできなかった新しい照射方法として「マルチパス照射法」があります。ピコ秒レーザーでは衝撃波による破壊作用がメインであるため1発ごとの周囲への熱損傷作用がQスイッチレーザーと比べて少ないため、やや出力を抑えて重ねて照射する方法(マルチパス)が可能となりました。
この方法を使うと、シミの濃さや厚さによって照射の重ね方を調節することができ、出力を抑えた分PIH(炎症後色素沈着)のリスクもさらに減らすことができます。
メリットとしては1回の施術での効果が高いことです。
デメリットとしては膜状のかさぶたが形成されるので、約1~2週間の処置が必要となります。
②ピコトーニング
エンライトンSRの1064nm波長の光を低出力でお顔全体に照射します。
選択的なメラニンの破壊によるトーンアップ効果と、衝撃波による真皮上層の組織損傷の創傷治癒効果によるリジュビネーション効果を併せ持っていますが、メインの効果は色調改善です。スポット照射に比べると低出力なので、基本うすいしみが適応となります。
メリットとしては、お顔全体に照射するので広範囲のしみにも対応できることと、照射後にかさぶたにならないのでダウンタイムがないことと、肝斑やPIH(炎症後色素沈着)にも効果があることです。
③ピコフラクショナル
エンライトンSRのハンドピースにMLAと呼ばれる特殊なレンズを装着することで、レーザー光を数百本に細分(フラクショナル)化し、ピークパワーを数倍に増幅することができます。これを皮膚に照射すると、衝撃波によって表皮~真皮内にプラズマボールと呼ばれる小空砲が多数形成され、部分的な破壊が起こります。その結果、創傷治癒効果により皮膚の若返り効果が得られます。
細分化されたレーザー光は色素選択性はほぼなくなるため、色調改善効果はなくなってしまいます。つまり、完全に肌質改善目的となります。
ピコフラクショナルはこのフラクショナル化されたレーザー光をお顔全体に照射します。
この照射方法は、出力を調整(低~高出力)することができます。出力を上げてピークパワーを大きくしたほうが効果も高くなりますが、赤みや点状出血斑などのダウンタイムが出現します。
④コンビネーション治療
エンライトンSRでは、上記で説明した「スポット照射」、「ピコトーニング」、「ピコフラクショナル(低出力)」はいずれも同日に照射が可能です。よって、これらを組み合わせたコンビネーション治療ができます。
例えば、
コンビネーション治療をおこなった場合、ピコトーニングとピコフラクショナルはダウンタイムがほとんどありませんので、スポット照射の部位のみかさぶたができることになります。
施術の流れ
まずは一度来院されて、カウンセリングを行ってから、施術日を決定します。
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カウンセリング
- まずは診察を行い、施術の原理や効果について説明いたします。施術が決定したら、同意書に署名をいただきます。
その後、施術日を決めていただきます。
来院後の流れ
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洗顔
- (以下、施術日)
洗顔をしていただき、お化粧、油分を落としていただきます。
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麻酔
- 麻酔が必要か不要かは施術内容で異なります。
スポット照射、ピコトーニングでは基本不要です。
ピコフラクショナルでは低出力では不要ですが、中~高出力ではシール麻酔、クリーム麻酔をおすすめします。
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施術
- 施術を行います。
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アフターケア
- 施術終了後、冷却、軟膏外用(必要な場合)を行います。
その後、保湿とUVのケアをしていただいて、帰宅します。
よくある質問、注意事項
- ・痛みはありますか?
- スポット照射(マルチパス照射を含む)は多少の痛みはありますが、我慢できない程ではありませんので、面積の小さいしみの場合は麻酔は不要です。面積の大きなしみや色の濃いしみの場合はシール麻酔を併用すればほとんど痛みはありません。
ピコトーニングや低出力のピコフラクショナルでは、1000~2000発の照射を高速で行うため、チクチクした痛みはありますが、麻酔は基本不要です。痛みに弱い方は施術前にクリーム麻酔を行うことも可能です。中~高出力のピコフラクショナルでは痛みが強くなりますので、施術前にクリーム麻酔を行います。 - ・日常生活に支障はありますか?(ダウンタイム)
- スポット照射(マルチパス照射を含む)では、褐色のうすい膜のようなかさぶたができますが、1~2週間の間に剥がれてきます。洗顔は可能ですが、軟膏の外用と茶シールによる保護が必要となります。
ピコトーニングと低出力のピコフラクショナルはダウンタイムは全くありません。中~高出力のピコフラクショナルでは施術後より点状出血と発赤が出現しますが、約3~7日で消退していきます。 - ・施術後の経過について
- スポット照射(マルチパス照射)ではかさぶたが剥がれたあとはしみはうすくなっていますが、2~3週間後に褐色調の炎症後色素沈着(PIH)が現れることがあります。PIHは自然経過で消退していきますが、数か月かかることもあります。できるだけPIHが出現しないように美白外用剤の併用や生活面での工夫をしていただきます。
ピコトーニングやピコフラクショナルでは直後というよりは徐々に効果が現れてきます。回数を重ねるほど、効果も蓄積されて高くなっていきます。 - ・施術回数、期間について
- スポット照射では、1回の施術でしみを消退できる可能性がありますが、しみの濃さや面積などにより経過は一定ではありません。もし取り切れなかった場合は数か月後に再度照射が可能です。PIHの可能性が高い場合は、ピコトーニングで消退を早めることも可能です。
ピコトーニングやピコフラクショナルは回数を重ねるごとに効果は上がっていきますので、2~4週間の間隔で5~10回の施術を推奨しています。
費用について
施術内容 | 料金(税込) | ||
自費初診料 | 3,300円 | ||
自費再診料 | 不要 | ||
エンライトンSR(価格は1回の施術についての値段です。) | |||
スポット照射 | |||
シミ | |||
5×5mm以下(1回につき) | ~6,600円 | ||
10×10mm以下 | ~13,200円 | ||
20×20mm以下 | ~26,400円 | ||
(複数部位の施術を行う場合は、各部位別の価格の合計で計算) | |||
ソバカス | |||
分布や個数によって要相談 | |||
ピコトーニング | 5回目まで | 6回目以降 | 5回セット |
顔全体 | 19,800円 | 16,500円 | 88,000円 |
部位的な照射 | 治療を行う面積により要相談 | ||
ピコフラクショナル | 5回目まで | 6回目以降 | 5回セット |
顔全体(低出力) | 19,800円 | 16,500円 | 88,000円 |
顔全体(高出力) | 27,500円 | 23,100円 | 126,500円 |
Wピコ(ピコトーニング+ピコフラクショナル) | 5回目まで | 6回目以降 | 5回セット |
顔全体 | 33,000円 | 27,500円 | 151,250円 |
※表示はすべて税込価格です。
※当院では自費診療においてクレジットカードのご利用に対応しております。